ライバル・日陰の花
The Rivals : Quiet positions
Derfflinger and Princess Royal
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このページは、第一次世界大戦当時海軍の花形であった巡洋戦艦を、それぞれに比較しながら紹介していくものです。
ここでは、イギリスの『プリンセス・ロイアル』とドイツの『デアフリンガー』を比較、紹介しています。
イギリス海軍巡洋戦艦『プリンセス・ロイアル』
完成時の『プリンセス・ロイアル』
右舷前方からの写真。まだ水雷防御網を装備しているから、かなり初期の撮影である。第三煙突に白帯を巻いているのは識別用。『ライオン』にはなく、『クィーン・メリー』は第一煙突に巻いている。
『プリンセス・ロイアル』
右舷前方から。艦橋下の4インチ砲は1門だけひとつ上の甲板に装備されている。砲塔横には識別用に「PR」の文字が書き込まれている。
大戦後期の『プリンセス・ロイアル』
後部の2砲塔上に航空機発進用のスロープが設けられており、艦尾X砲塔上には戦闘機が載せられている。偵察や観測用というより、敵の偵察機や飛行船の排除が目的のようだ。もちろん着艦はできないので、発進したら陸上基地へ帰るか、機体を使い捨てるしかない。
『プリンセス・ロイアル』
艦首砲塔と艦橋のアップ。艦橋構造物の形状は3艦で微妙に異なっている。B砲塔に描かれている定規の目盛りのようなものは、僚艦に自己の砲塔が指向している方向を知らせるためのもの。
ドイツ海軍巡洋戦艦『デアフリンガー』
上空から見た『デアフリンガー』
砲塔上の丸印は敵味方識別用。前マストが三脚檣になり、水雷防御網が装備されていないので、大戦後期の写真だろう。
『デアフリンガー』
左舷ほぼ真横から。副砲砲廓の中央部に減揺タンクを装備したための空隙があり、同型艦より副砲が2門少なくなっている。これと艦橋構造物の違いが『リュッツオー』との識別点になる。
『デアフリンガー』
左舷前方から。おそらく完成直後の写真と思われる。
主砲を斉射する『デアフリンガー』
発砲をこの角度から撮ると、なんだかわからない写真になる。
『デアフリンガー』の三脚檣
本艦の三脚檣は側脚の間隔が大きく、写真のように頂部でも主脚に直接接続していない。バランスとしてはあまりよくなく、せっかくの容姿を損じている。
DJ−02、DJ−03 左舷艦首
2枚の装甲鈑がそっくり脱落している。前後の装甲鈑も取り付けが歪んで浸水したけれども、幅のない部分なので絶対量は多くない。
DJ−07、DJ−08 後部砲塔
D砲塔の天蓋に砲弾が命中した穴を見ることができる。二枚の天蓋装甲鈑の継ぎ目を押し広げるように砲室内へ侵入し、内部で爆発しているが、砲塔外形は変形していない。
C砲塔バーベットへの命中痕もこの写真にある。砲塔手前の01甲板ラッタル上に数人の水兵が立ち並んでいるが、その中の白いシャツを着ている者の真上、バーベットの上端付近に黒く見える部分が、その貫通穴である。砲弾が完全に貫通して内部で爆発したため、穴の外側は汚れていない。
DJ−13 左舷中央部
15センチ砲の砲身は折れ、砲弾の爆発痕がはっきりと見て取れる。痕跡の一部は砲盾を回り込んだ先にも見えるが、その中間に汚れていない部分があり、爆発点が推測できる。
DJ−16、艦尾上甲板
砲弾が甲板木部を切り裂き、その状態で炸裂したことがよくわかる。砲弾の落角が非常に小さいと理解されるだろう。写真で天窓の左側に、リベット穴がミシン目のようになってまくれている鉄板が見えるけれども、DJ−10の命中弾による損傷と思われる。
DJ−17、艦橋直下
砲弾は命中した甲板を押し下げるように変形させながら前進し、構造の変形がすべて内側へ向いていることから、上構内へ突入する瞬間に爆発したようだ。
DJ−20、司令塔
砲弾の命中した部位が明確にわかる。直上のスリットからは水滴よけのひさしがもぎ取られ、司令塔の手前甲板もリベットがちぎれて吹き飛ばされている。それでも内部に死傷者があったという報告はない。
沈没する『デアフリンガー』
スカパ・フローで自沈したときの写真。この後、転覆したようで、解体時の写真では裏返って沈んでいたことがわかる。重装甲を施した軍艦は、たいてい転覆して沈んでいる。
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