ライバル・隔絶した世代
The Rivals : Generation Gap
Invincible and Armoured Cruisers
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このページは、第一次世界大戦当時海軍の花形であった巡洋戦艦を、それぞれに比較しながら紹介していくものです。
ここでは、イギリスの『インヴィンシブル』と列強海軍の末期装甲巡洋艦を比較、紹介しています。
イギリス海軍巡洋戦艦『インヴィンシブル』
『インヴィンシブル』
右舷前方からの写真。まだ水雷防御網を装備しているから、かなり初期の撮影である。煙突の識別帯は各煙突に白帯一本ずつ。
『インヴィンシブル』
左舷前方から。こちらの煙突には識別帯がない。砲塔上の4インチ砲に注意。主砲砲戦時には配員できないので、これを除くと上構内の4インチ砲は片舷4門しかなく、駆逐艦レベルになってしまう。
後部の艦載艇が中途半端な位置に高く吊られているが、この位置からボートだけを下ろすと、ちょうど一段低い上甲板の最前部縁に位置するようだ。
爆発する『インヴィンシブル』
生存者の証言によれば、右舷Q砲塔に直撃弾があり、天蓋が吹き飛んでから弾薬庫が爆発したとされる。
『インドミタブル』
識別白帯は第三煙突に一本。艦尾砲塔の背後に別艦のマストが見える。
『インフレキシブル』
識別帯は第一煙突にある。上甲板の大半が天幕に覆われているのは残念だ。
列強海軍の装甲巡洋艦
イタリア装甲巡洋艦『サン・マルコ』
右舷斜め後ろから見ている。後甲板には天幕が張られ、後部主砲塔は見えない。二本ずつの煙突の間が大きく開いており、ここに4基の副砲塔と機関室がある。まだ前檣は装備されておらず、信号ヤードは煙突に取り付けられている。
ドイツ装甲巡洋艦『ブリュッヒェル』
左舷艦尾からの姿。主砲塔は6基がそれぞれ六角形の頂点にあり、どの方向にでも最低4門は指向できる。艦は低速で移動中だが、増速準備中なのか黒煙がすさまじい。
『ブリュッヒェル』
左舷真横から。前檣は三脚檣になっているが、側脚は主脚を追い越すように前方へ傾けられている。グーズネック・クレーンはドイツ大型艦の特徴だ。
フランス装甲巡洋艦『ワルデック・ルソー』
二群に分かれた六本煙突が特徴的である。艦首尾の砲塔は連装、舷側の砲塔は単装で、前後艦橋横の主船体に砲廓にして1門ずつが装備されている。フランス艦らしいと言うか、舷側は大きな窓だらけだ。確かに一部は小口径砲の砲廓なのだが。
日本装甲巡洋艦→巡洋戦艦『伊吹』
こうしてみると整った姿ではある。舷側の20センチ連装砲塔は、バーベットを細くするために砲を高い位置に配し、砲室の背が高くなっている。その下の甲板にある12センチ砲は、荒天ではまず使えないだろう。
ロシア装甲巡洋艦『リューリク』
『伊吹』と同系列の砲塔配置だが、本艦のほうがずっと長く、配置には余裕がある。艦首よりの副砲塔は一段高く装備されており、波の影響を受けにくかった。
イギリス装甲巡洋艦『マイノトー』
舷側にずらりと並んだ19センチ砲の単装砲塔が異様に思える。この砲塔は直下に弾薬庫を持っておらず、主砲塔弾薬庫に隣接した弾薬庫から、通路によって各砲塔下の集積所へ運ばれていた。ここで誘爆が始まると全艦が爆発してしまう。
完成から間もない頃の撮影らしく、まだ煙突は延長されていない。
アメリカ装甲巡洋艦『ワシントン』
『テネシー』の同型艦である。適当な写真がなかったので代用した。
長大な船体に砲塔は二つだけで、副砲はすべて砲廓装備である。前後左右に4門ずつ集中しており、上甲板に1門、その下の主甲板に3門ずつだった。その間には7.6センチ砲の砲廓がずらりと並んでいる。
イタリア戦艦『レジーナ・エレーナ』
艦首尾に30.5センチ砲の単装砲塔を1基ずつ装備し、両舷に20センチ連装砲塔を3基ずつ、中央の砲塔を一段高くした背負い式類似の配置としている。艦橋横の20センチ砲塔からの射界をかわしている船体の切り込みラインが美しい。
『サン・マルコ』の艦型略図
中央部の副砲砲塔配置にご留意いただきたい。間にある四角い囲みは機関室の天窓である。
『ダンテ・アリギエーリ』の艦型略図
こうして並べると、非常に類似した配置であることがおわかりいただけるだろう。『サン・マルコ』の副砲部分で船体をいくらか延長すれば、主砲塔2基の配置は難しくあるまい。『ダンテ・アリギエーリ』は三連装砲塔だったので、艦首砲力を軽視した中心線配置だったが、『サン・マルコ』なら連装主砲塔を梯形配置したかもしれない。
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