三脚檣写真帖 (8)
Photo Album 08 (Funny photos)
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ようこそ三脚檣写真帖へ
ここでは昔の軍艦の写真を中心に、普通の書籍やホームページでは取り上げないような、一風変わったものを集めてお目に掛けます。
このページでは、前のページに続いて、ちょっと風変わりな船だとも選んでありますが、船そのものではない「何だこれ?」というようなものも集めてあります。
衝角のページで紹介したイギリスの衝角艦『ポリフィーモス』(Polyphemus 1881) の全景
ちょっと引いた写真です。どこかで見たような形だと思いませんか? この艦の下半分の船体は、楕円形の断面を持ち、その上面は装甲で覆われています。上半分の船体には防御がなく、凌波性、居住性、浮力、露天甲板の確保のためのものです。
これって大戦型の潜水艦そのものの構造です。つまり、こいつは潜れない潜水艦で、潜る代わりに装甲を持っているわけです。
イギリスはロンドンにある「クレオパトラの針」と呼ばれる尖塔
イギリスがエジプトから持ってきてしまった「戦利品」ですね。名目上はプレゼントされたことになっていますが。
で、それを運んだバージ
誰ですか、運荷筒だなんて言う人は。これを延々と曳いてきたんですよ。大西洋へ出たところで嵐に遭い、曳航索が切れて行方不明になったりしてます。スペインの海岸に流れ着いているのを発見されて、無事回収されました。
上の写真と見比べていただくと、設置場所のすぐ近くで陸揚げされたことが判ります。まあ当時は、これだけ大きくて重いものを陸上で動かすのは大変な仕事でしたから。
イギリス戦艦『リナウン』(Renown 1895) の主砲塔
モットーが堂々と表示されていますが、有名なネルソンのこの文言を飾っている艦は多いようです。いろいろとエピソードの多い文章でもあります。戦闘の時には外すんでしょうねえ。どう見ても照準の邪魔だもんなあ。
イギリス戦艦『コンカーラー』(Conqueror 1911) の艦尾に置かれた夜間用救命浮標
左側にある、先にボールが付いた十字型のものがそれです。これがそのものかは判りませんが、光を発するためにカーバイドが仕込んであって、そのためにせっかく助かった水兵が失明したなどという話もあります。右端に写っているのも同じもの。
イギリスVTOL空母『イラストリアス』Illustrious の救命浮標と投下装置
1997年に晴海で撮影。光源は別添のブイになっているようです。おそらく発信機も仕込まれているでしょう。投下機は、どうみても官給品とは思えない、乗組員の手製になる木造ですな。工作は丁寧ですが、塗っていない理由は判りません。あんまり最新型っぽくないなあ。
イギリス装甲巡洋艦『ハンプシャー』(Hampshire 1905)での艦載艇事故
どうもデリックがめげたようで、ぽっきりと折れ曲がっております。振り出したところでボキッといって、船体にぶつかって止まったんでしょう。水兵の慌てぶりが面白いです。向こう側の腹に大砲が突き刺さってなきゃいいんだけど、刺さっているだろうなあ。
これも曰く因縁のあるフネでして、軍艦上で戦死した最高位の軍人さんになるのかな。
アメリカのモニター『モンテレー』(Monterey 1891)
別に沈みかけているわけではなく、モニターが前進するとこうなるというだけの写真です。艦首の旗と、前方の海面を見ていただけばお分かりのように、平水、無風に近い状況でも、前に進むだけで艦首甲板はこの通り水の中です。上に乗った水の分だけ重くなり、余計に艦首を突っ込みます。うっかりどこか開けるだけで沈没できますね。
アメリカ戦艦『ミシガン』(Michigan 1908) の籠マスト
ちょっと風が強かったんですな。1918年1月に突風を食らってへし曲がった前マストの写真。直すのは・・・無理か。
アメリカ衝角艦『カターディン』(Katahdin 1893)
これがアメリカ製の体当たり専門艦です。武装は6ポンド砲(=豆鉄砲)が4門あるだけで、撃ち合うなら商船に大砲を積んだ仮装巡洋艦のほうが強いでしょう。イギリスの『ポリフィーモス』と違って魚雷も持っていません。
進水台上の『カターディン』
水中形状を見ないと、この艦の存在は理解できません。このように艦首は鋭い衝角になっており、もっぱら体当たりのみを考えて造られています。ところが、計画から完成までが長く、速力も予定を大幅に下回ったため、まったく役に立たないと判定されてしまいました。
艦首正面から見た『カターディン』
この角度から見ると、衝角なのは艦首だけではなく、船体全部が体当たり用にできていることが判ります。通常ですと、相手が避けようとして舵を切り、斜めに浅い角度で当たった場合、艦首の衝角は役に立たないのですが、この艦では少々斜めだろうがなんだろうが、相手の舷側を切り裂けるようになっています。
一番尖った部分の上下、木材の張られている部分が装甲範囲です。こと体当たりに関しては、これ以上の艦はないでしょう。なにせそれだけを目的に建造されたのですから。
アメリカのダイナマイト巡洋艦『ヴェスヴィオス』(Vesuvius 1888)
常備排水量929トンという、世界でも最小クラスの巡洋艦。実際には巡洋艦とは名ばかりで、局地戦用の砲艦でしかありません。クルージング・ヨットのような船体に、口径15インチのザリンスキー空気圧砲、俗称ダイナマイト砲を3門装備していました。
1000トンに満たない小柄ながら石炭の最大積載量は152トンと多く、速力も当時としては快速の20ノットで、これらが多分、巡洋艦を名乗らせる根拠になったのでしょう。乗組員数は70と少なく、居住区もそうは圧迫されていないと思われます。倍の大きさに97人しか乗っていないとはいえ、ろくに乾舷のない『カターディン』のほうが、はるかに環境劣悪だったでしょうね。
『ヴェスヴィオス』のダイナマイト砲
3門の15インチ砲は、ダイナマイトをたっぷりと詰め込んだ薄肉の有翼砲弾を圧搾空気の力で打ち出すもので、装薬を用いないため砲身も肉が薄く、大きな発射音もしません。発砲閃光、煙ともなく、いくらかでも距離があれば、相手は砲弾が落ちてくるまで発射されたことすら判らないのです。
3門の砲は、このように艦首へ向けて仰角18度に固定装備され、旋回も俯仰もしません。方角は艦を動かして調整し、射程は吹き込む空気の量で調整します。砲弾重量は980ポンド(444.5キログラム)、炸薬は500ポンド(227キログラム)のダイナマイトでした。砲弾の肉が薄いために、爆発力に比して破片効果が少なく、非常に大きな音で炸裂することから心理効果は大きかったものの、殺傷力は伴いませんでした。
最大射程は1750ヤード(1600メートル)とされますが、実際にはもう少し短かったと言われます。
『ヴェスヴィオス』のダイナマイト砲装填機構
前の写真の甲板下はこのようになっています。このザリンスキー砲は、砲尾を砲身から外して前から装填する様式で、写真で3門の砲は左からそれぞれ発射姿勢、中間姿勢、装填姿勢にあります。艦の前方に弾庫があり、水平に寝かされた砲に装填すると、砲は持ち上がって砲身に接続され、尾部から高圧の空気を吹き込んで砲弾を飛ばします。ライフルはないので、砲弾には尾と尾羽があり、これによって姿勢安定を得ます。この部屋の上は居住区になっている甲板で、砲身が斜めに貫通していて、上甲板はさらにその上になります。
この艦は、1898年の米西戦争に参加し、当時スペイン領だったキューバのサンチャゴ包囲戦に加わりました。サンチャゴ市街への砲撃に用いられ、強烈な爆発音と、発射されたことが掴めないために、市内の防衛軍はかなり怖がったようなのですが、戦闘後に破壊状況を調査した米軍は、破壊力が小さいとしてこれの運用を止めてしまいます。『ヴェスヴィオス』は魚雷の練習艦に転用されてしまいました。
このザリンスキー砲は、陸軍用に比較的小型のものも開発されており、日本へ売り込まれた記録もあります。
ドイツ小型巡洋艦『リューベック』(Lubeck 1904:uはウムラウト) の推進器
ドイツ海軍で初めてタービン主機を装備した艦です。とにかく速く回りたがるタービンと、そんなに速く回られちゃ困るスクリューとの綱引きで、1軸にスクリューを2個ずつ付けた4軸となりました。かの有名な『タービニア』も同じことをしてましたけど、そっちの写真ならどこにでもあるから。
ここからは前のページで掲載しそこねた写真の落穂拾いです。
オーストリアの装甲巡洋艦『サンクト・ゲオルグ』(Sankt Georg 1903)
艦首紋章の一種なんでしょうが、ホーズパイプの後ろ側という珍しい位置にあります。これだけのものを描くのに、広いキャンバスが欲しかったんでしょう。図柄はまあ、ロシアの紋章にあったのと同じで、かの人物が龍を退治しているところですな。右のほうに立っている杖を持った人物は誰なんでしょう。
ネームプレートの周囲を飾るように付けられている植物様の飾りですが、工作物というより自然植物そのもののように見えますんで、これは何かのイベントに合わせた、一時的な装飾かもしれません。
オーストリア装甲艦『ドラッヘ』(Drache 1861) のフィギュア・ヘッド
オーストリア最初の装甲艦2隻の片割れで、もう1隻の『ザラマンダー』にも、違ったデザインの龍のフィギュア・ヘッドがあったらしいです。そっちの写真は見つけていません。元写真にキャプションはないんですが、背景がないので、外された後、博物館かどこかに保存されている状態の写真でしょう。なんか、今ふうに漫画チックなんですが。
さて、ここで問題です。これはいったいなんでしょう。
ヒントは、
1・時期は1920年頃・原因の発生は1916年、必要が出てきたのは1926年、使われたのは1931年です。
2・戦艦に関係があります
3・これが造られた数はひとつだけ。使われた回数は最大で4回。
4・八つある小塔の頭が丸いのは、圧力が掛かるからです。全体の直径は23メートル。
ところで、前のページで正体を明かさなかった『フードロワイアン』ですが、質問もないんで判ったんでしょうけど、答はあのページのソースを見ると書いてあるんです。このページのソースを見ても、ヒントはあるけど答はありませんよ。
解答は次のページ
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